2010年9月1日

忘れぬよう、忘れられぬよう

Filed under: konazakura — RikakoInoue @ 5:49 午後

 

 オープンして三年半が過ぎようとしています。 お客様とやり取りをさせていただく中で先日ドキッとした一コマがありました。 お客様にパンやお釣りやレシートを渡すとき私たちはいつも「ありがとうございました」と言います。 これはもちろん私たちだけではなく、たいていの売る側にたった人がいう言葉だと思います。 わたしもいつも、うちのパンを買ってくれてありがとう、この暑い中パンを買いに来てくれてありがとう、とお客様の後ろ姿をみながら心からそう思います。

 が、先日、こちらが「ありがとう」と言う前に、一人のお客様から「いつも、おいしいパンをありがとう」とフルフレーズで言われてしまいました。 ドキッとしてとっさに「いえいえ、こちらこそ暑い中ありがとうございます」と返しました。 でもこれはとっさにではなく、本当に今、わたしが叫びたい本心だったのです。

 不況の波に重なった記録的な猛暑、パンを作っている私たちでさえツルツルッという冷たいものしかのどを通りません。 私が逆の立場だったらお金を出してパンを買ったりはしないでしょう。 なのに、それなのに、わざわざパンを買いに来てくださって、おまけに感謝の言葉までいただいてこれ以上幸せなことってあるのでしょうか。
 
 実は前から気にしていたのですが、多くのお客様がパンを受け取るときに「ありがとう」と言ってくださいます。 「暑いのに大変ね」とか「朝早くて大変ね」と声をかけてくださるお客様もいらっしゃいます。 そんな言葉にはうれしいを通り越して時に申し訳ないような気にもなります。 わざわざ店に来ていただいて、パンを買っていただいて、感謝の言葉までいただいて、本当にありがたいです。
 でもそんな言葉があるからこそ、私たちはがんばっていけるのです。 毎日、パンを焼いていけるのです。

 「ありがとう」と「ありがとう」、忘れぬようこれからもパンを焼き続けます。 そして私たちの思いをこめたパンが忘れられぬよう全力をつくします。